笹の実を味わう!笹の実の歴史や食べ方を紹介
笹の実と聞くと、笹に実がなるのかと思う方も多いかもしれません。実は、笹の実は食用として使われていた歴史もある食材で、独特の風味や食感があります。この記事では、笹の実の風味や味わい、さらには歴史について詳しく紹介します。笹の実の魅力に触れながら、和の味わいを楽しんでみませんか?
この記事はこんな方におすすめです。
- 笹の実の味を知りたい
- 笹の実を食べたい
- 笹の実が食べられてきた歴史を知りたい
目次
笹の実の風味や成分について
笹の実の風味は、優しい甘みとほんのりした笹の風味が混ざり合っています。
成分としてはイネ科と同じようなものらしく、たんぱく質はイネや小麦より高め。
脂質は米と小麦の間くらいで、炭水化物は米に近いようです。
笹の実の味について昔の人の感想
数十年に一度、タケ類は花を咲かせ、実をつけます。
タケ類の実がどのような味がするのか、各書籍に載っている記録等をまとめました。
『野生植物掛図』日本製図KK編
食用種子、古来竹米と呼び、米とともに飯、または粥に煮る。
その味は淡白である。
『野生植物掛図』
- 第二次世界大戦勃発当時、食品不足が懸念され代用食の宣伝のため本書が作られました。間に合わせで作られたのか、マダケの図に添えられた説明は少し怪しげなものです。マダケの実は結実の確率が何万分の1と低く、例え運良く見つけたとしても糸のように細く、お腹いっぱいにはなれそうにありません。ご飯にして食べるには希少すぎます。
『甲子夜話』松浦清(1821年頃)
あるいは炊いて食い、粉にして食らうに、その味もっともよし
『新編竹米考』小林辰(1967年)
笹の餅…余こころみにそれを食うに甘き香り頬に溢れる。奇味、いうべからず、ああ……。
『竹』竹内叔雄(1943年)
…スズ竹の実の如きは優に米粒の二倍ほどもあり、味も米や麦とは比較にならぬほど美味なものだそうだ。昔から喜んで食用とし、また鶏の食料などにも使われる。
『熊笹実混入パン』(1943年7月20日 朝日新聞)
世界第二次戦争中、岩手県盛岡市では笹の実入りのパンを各戸に配給した。ところが食糧の不足した戦争中でもマズイということで不評をかい、1~2割とした。すなわち、色々と試食の結果、多くを入れるとまずいので笹の実1:じゃがいも3:小麦粉6の割で190gのパンを作って配給した。
- 配給する前に味見はしなかったのでしょうか…
嘉永3年の古記事 (1944年5月7日 朝日新聞)
……6月になると皆こぼれ落ちるのでそれまでに採集した。それを粉にし、または団子にして食べたが米よりはいいものだ。大和での採取量を奈良の奉公所へ聞いてみたら1800Kgとのことだった。
『竹と笹』室井綽(1956年)
……笹団子の看板が目についたので早速に飛び込んでみる。餅は黄色の直径7~8cm、短径3cm、厚さ1.5cm楕円形、1個3銭…原料は笹実と小麦の半々にして蒸して作った由である。…味は粉の粗製のこともあって、いたって不味、なかなか続けて一個が食えない。
『草木ノート』宇都宮貞子(1970年)
……この実は車屋(水車屋)に出して粉にしてもらうが、軽い粉で、家の中なんずでいびったら、フワフワ舞いだして始末に困る。団子くらいにしかならぬが、「笹くさくてまずいもんだに」と。「終戦のあとの食糧不足の時、ヨシの葉干しといて粉にして食べろと政府で言った。しかしちょうどその年の笹がよく実いいって、その粉食べたでヨシの粉は食べなんだ。笹の実は麦粒みたいなもんで、1斗も2斗も採ってきた。粉のうちは白くて綺麗だが、団子にすると黒くなってこそっぽくてまずかった」と。
笹の実の味についてまとめ
笹の実については賛否両論ありますが、実際の味は淡白というより、美味しくないのが本音のようです。
天井に吊るしておいても虫がつかないことから、その不味さを物語っています。
戦争中の食べ物が少ない時でさえ、配給所でも不評だったとか。
また、一部が黒くなった笹の実を食べた妊婦が流産したという話もあるので、実際に食べる際は注意が必要です。
実際に笹の実を食べるには?笹の実の食べ方を紹介
笹の実は乾燥すると非常に硬くなるため、お米を炊くようにして食べることはできません。
①精白する前に数時間水に浸して軟らかくします。
(水で軟らかくしないと硬すぎて臼で精白しようにも、すべって果皮が取れない場合があります)
②臼で精白
③煮て食べる。または粉にして団子にする
実際に笹の実を食べるには米や小麦の粉と混ぜ合わせて団子にしないと食べられないほど不味いらしく、我慢しないと食べられないようです。
笹団子などはあくまで香りだけだから楽しめるのでしょうね。
笹の実を使ったお菓子やレシピはあるのか調査
現代でも笹の実を使ったお菓子やレシピは残っているのか、また実際に販売されているのかを調査してみました。
結果は、見つかりませんでした。
笹の葉で包んだ和菓子やご飯などはあるのですが、笹の実を使ったものはないようです。
また、笹の実そのものの販売があるのか各種ネットショップで検索してみてもありませんでした。
どうしても笹の実を食べたい場合は、自ら採取してくるしかないようです。
実がつきやすいタケ類
(左)竹の実、(右)笹の実(上)竹の実、(下)笹の実
食べられる実として挙げられるタケ類の実に笹が多いのは、
竹の種類はほとんど結実しないため、食べられる分の量を確保することが難しいからです。
笹の中でももっとも実がつくのは
クマザサ類(チマキザサ、チシマザサ=ネマガリダケ、ミヤコザサ、スズダケ)、
メダケ類(メダケ、ネザサ、アズマネザサ、カンザンチク)などです。
これらは時に大面積にわたって開花結実するため、たくさんの実が採れたこともあったようです。
(出典:『竹』 著:室井綽)
まとめ
今回は笹の実の味わいや食べられてきた歴史、実際の食べ方などについて紹介しました。
昔の人は飢饉の際に成る食料として大変ありがたがっていたようですが、実際に笹の実を食べるには相当な我慢が必要なほど美味しくなかったようです。
どれほどの味だったのか非常に気になるところではありますが、笹の実を使った食べ物が現代では販売されていないのでもし食べるなら自ら採ってくるしかありません。
貴重な笹の実、道の駅などで見かけた場合は一度試してみてはいかがでしょうか。